とある事情で急遽スキーを小学生に教えるというオファーを受けました。
しかし、一応パラレルでは滑れはするもののスキーを人に教えたことなんか一度もありませんしスキー経験も片手で数えられる程度の初心者です。
※子供が転倒した時に駆け寄れる程度の技量は絶対必要です。
そこで教える前の事前学習としてポイントをググるとこちらのサイトがヒットしました。
※個人差がありますが、上記記事の内容が「あー、そういえばそんなの習ったなー」と一通り理解出来れば教えることは可能だと思います。
記事を一通り読んでみて、特に不明点は無かったものの、ゲレンデでポイントを思い出したり考えながら教えると非効率なので予め「メモ書きしておく」ということにしました。
しかし、分厚い手袋をしながらメモを捲るという作業はこれまた大変。ましてやスマホにメモをするなんてことをしたら操作出来ないわ画面見辛いわでさらに非効率な展開になります。
ということで、ラミネートで防水したこのようなカードを作ることにしました。
(使うときは穴にリングを通します。)
せっかく作ったデータなのでこのブログの下からデータをダウンロード出来るように残しておきますのでもしお役に立つようでしたら個人利用に限りご自由にご利用ください。
内容はほぼ上のリンク先の通りですが、少し付け加えたり端折ったり教える場所と順番を考慮して変更している点もございますので中身を少し詳しく書いておきます。
※実際にはカードの順番に縛られず子供の能力に応じて臨機応変に(←大事です)対応しましょう。説明しても理解出来てないと思ったら理解できる範囲から次々進みましょう。諸注意以外は「教える」ことよりも「楽しむ」ことが大事です。
カードの内容
カードは全10部での構成になっています。
①安全確認
これはスキーの技術とは関係無いことなのですが、事前にきちんと伝えておかないといけません。
スキーやスノボーのエッジは当たりどころが悪ければ人体でもサクッと切れます。
レンタルスキーの場合は危険性を踏まえてあえてエッジを落としてある場合もあるようですが、特にプロの方のエッジはメチャメチャ研いであります。
子供達が遊ぶような場所にプロの方はいないはずですが、プロの方の使うような板は他人のスキー板がちょっと当たっただけでもエッジに焼きが入って滑りが悪くなってしまうということでメチャメチャ嫌われます。
自分の為にも他人の為にも「他の人のスキー板には近寄らない、近寄らせない」が鉄則です。特に子供には絶対に注意をしましょう。
ストックは目を突いてしまうと大変なことになります。
子供は後ろを見ていない場合が多いですからストックを持つ時は後ろに人がいないことを確認してから、他の人が持っている場合は距離を開けるようにしましょう。
子供は目線が低いのでストックを持った大人の後ろには行かないように注意しましょう。
②装備装着
注意すべき点は特にブーツの締め付け具合です。
しっかりとホールドしないとスキー板の操作が難しくなってしまうのですが、長時間動くものですからむくんで後で足が痛くならないように注意が必用です。
解らなければ販売店やレンタル屋さんで相談すれば良いです。
③装備に慣れる
特に歩き方が大事ですね。
シッカリとブーツの裏が地面に接地していないと滑りやすくなるということを教えます。
また、ブーツに付いた雪を落とす方法も教えておきましょう。
ストックでコンコン叩くのが一般的ですが、
このような、ワックス剥がしに使うスクレーパーで落とす方法もあります。
不要な厚めのポイントカードとかでも充分代用可能ですね。
子供の場合には何かキャラクターの入ったカードを渡しておくと喜んでくれるかもしれません。
その他に「スノースプレー」というものがあります。
これは除雪作業道具用のスプレーですが、ブーツ裏にスプレーすると簡単に雪が落ちるようになるというスグレモノ。
「足が重たい」だの「しんどい」と言う子供には予めこちらのスプレーを吹いておくと良いかもしれません。
ストックの持ち方はこちらの記事が良いですね。(ポールと称されています)
④平地で感覚を養う
まずは立てないとお話になりませんから平地で板に乗せてみます。
極端な場合にはこの辺で既に適正が解りそうです。
ポイントは「大人は押さない」ということです。
子供がストックを突いて進んだりバタバタさせて進んだりするのはOKですが、押すとバランスを崩して怖くなることがあるそうなのでしばらくそっと見守ります。
「進んだ!おもしろーい!」となると次に行けますね。
⑤軽斜面での転倒練習
「重心を低くして横に転ぶ」が基本で、雪とウェアで守られているので「こけても大して痛くない」ということを教えます。
骨折や捻挫をしないようにお尻から横に安全に倒れる、倒れると止まることを教えます。
「ダメだと思ったらすぐ転ぶこと」これは口を酸っぱくして教えます。最低限これだけ守れていたらスキーが暴走することはありません。
また、谷側に倒れてしまった場合は背中で回ってリカバリするといった起き上がり方も大事です。
⑥軽斜面での昇降
「斜面に対してきちんと横に立つと滑らない」ということとエッジの効かせ方を教えます。理解が難しければ実際の強い斜面で体感させると早いです。
斜面に対してカニ歩きですが、この辺は対して面白くありませんし体力を消費するので子供が飽きない程度にほどほどに。
この時点でキックターンの練習をしておくのも良いかもしれません。
⑦ハの字で滑る
「ハの字」「八の字」呼び方はそれぞれですが、プルークと呼ばれる立ち方です。
「ボーゲン」はプルークでターンする方法の呼び方なのですね。僕はハの字の立ち方が「ボーゲン」だと思っていました。
恐怖を感じないように出来るだけ近くでサポートしながら八の字のまま直進させます。
出来たらターンにトライです。
両手を広げるとやりやすいようです。
ターンが出来たらもう随分楽しくなってきますね。
⑧スピード調整/停止
スピード調整と停止ができるようになるとほぼ基本は完了ですね。
次はリフトに乗っていきます。
⑨リフトの乗り方
リフトに乗る前に諸注意をしましょう。
「万が一何かあっても係の人が止めてくれるから大丈夫だよ」と焦らせないように。
特に子供は板の上の雪をストックや片方の板で落とそうとします。
「板が落ちたら楽しいスキーがおしまいだよ」とここはしっかり我慢させましょう。
⑩先導して滑る
軽斜面でやってきたことを総復習して子供が感覚を掴むまで周囲に気をつけながら、一人で行けそうな場面ではゴーサインだけ出して「コケたら助けるから」と温かく見守ります。
自分も何度も転倒してみせて、転倒しても恥ずかしいことじゃないんだよと教えます。
あとはしっかり褒める!ですね。
練習で子供に「かんぺき」を求めないことが大事です。
軽斜面での練習なんかバリバリさせたって面白くない上に体力消耗するだけですから、一通りカリキュラムを通したら「危ないと思ったらすぐコケること!」と言い聞かせて出来るだけ早くリフトに乗せるようにしましょう。
リフトに乗って転けて起き上がって体験しながら学習する方が理論をあーだこーだ述べるより百万倍覚えるのが早いです。
実際にこのカードをカリキュラムとして休憩も交えながら一通り終え、ボーゲンはこれで大丈夫だなと思えたのが2時間後ぐらいでした。(小学生低学年、運動神経は良い方)
(楽しくなると今度はなかなか終えてくれないので大人がツラいのですが…ガマンです)
メモカードのダウンロード先
<pdfファイル Googleドライブ>
スキー(ボーゲン)の教え方.pdf - Google ドライブ
カードの作り方
プリンターで印刷して、型に添って切ってラミネーターで綴じます。
左端にリングを通すための余白を残した状態で、紙の周囲数ミリ残して切り取ります。
※キッチリ紙の部分まで切ってしまうと浸水します。
そうすると、スキーの手袋を付けていても捲りやすいように段差付きカードが完成します。
パンチで穴を開けて紐やリングを通せば完成です。