スマホやICカードから自宅の鍵の開閉を行なうスマートロックという商品が沢山あります。
スマートロックは例えば、
- 手荷物がいっぱいのとき、事前に鍵を開けておいたり近づいたときに開けるようにする。
- 遠隔で施錠の確認をする。
- 緊急時に自宅へ鍵を持たない誰かに荷物を取りに行ってもらったり留守中にペットの餌やりをお願いする時に遠隔で操作する。
- 就寝時等、時間になったら鍵が自動で閉まるようにする。
- 外に出たら勝手に鍵が閉まるようにする(オートロック)。
- 子供に物理的な鍵を持ち歩かせたくない。
こんな用途で使えます。
便利な道具なのですが、そのまま玄関に使うとなると色々と不安や不満な要素もあります。
- 壊れた場合に手動で解錠できるのだろうか?
- 連携サービスが終了しちゃったら操作できるのだろうか?
- サーバーの不正アクセスで操作されない?
- 作成販売会社は信用できる?(どこの誰が使ってるか把握出来ると悪意がある作成販売者なら自宅に押しかけて任意に操作できてしまうのでは?)
- 後付け感が否めない(目立つ)
- 電池交換が面倒くさい
加えて僕の玄関が上下のダブルロックなので、いざ付けるとなると2つ取り付けて連携が必要です。
2つも付けて毎回電池交換するのは面倒くさいし、高い!
・・・いろいろ考えると納得出来る理想的な型にするはやはり「自作」するしかありませんよね!(自作してみたいだけだったりする・・・)
<スマートロックを自作するメリット>
自作にはまずモーターの選定が必要です。
たまたまですが、手元に電子工作では言わずと知れたマイクロサーボモーター、WOWER PROのSG90が1つありました。
この頼りなく見えるちっこいサーボモーターで鍵が回るのか?とりあえずテープを貼付けてArduinoで制御して実験しましたら鍵を回す程度のパワーは充分あるようです。小さいのにすごい!
今までサーボモーターの実験をしたことはありますが、実際に工作でサーボモーターを使うのは今回が初めてです。
SG90は類似品(コピー商品)も安く大量に出品されています。
制御角度の精度を求めない今回の用途であればコピー品でも特に問題は無いでしょう。
実験で壊す可能性もあるのでとりあえず安いのをポチりました。
実はスマートロックは過去にNinjaLockというものを分解してみたこともあります。
この分解レポートで用いられていましたモーターは逆入力不可能なDCモーターでした(つまり、モーターから鍵を回すことはできるけど、逆に鍵側を回してモーターを動かすことは出来ない)が、マイクロサーボモーターであれば最悪壊れた場合でも通常の鍵を使って手動でサーボを逆入力で回して鍵を開けるということも可能です。
作成準備
3Dプリンターを使って鍵とモーターがしっかりマウント出来るように型を作ります。
(3Dプリンターでベースとなるスペースのサイズを実際に作成して鍵と取っ手の間ピッタリに納まるように確認中)
これがきちんと型に納まらないと最終的にギアボックスが出っ張って不細工になります。
機構の構想
「スマートロックの自作」で検索すると、よくこのような工作例が出て来ます。
これはシンプルで設計が簡単、モーター直結なのでメンテナンスも楽というメリットがありますが、反面鍵が手前に出っ張ってしまうことと、何かしらエラーの際にサーボと支柱が邪魔で本来のサムターンを手動で回すという動作が難しくなることが難点、何より見た目が問題です。
そこで、今回はサーボモーターを鍵と横並びに配置し、ギアを使って伝達させる構造を取ります。
ギアを作るのが手間ですが、この方法だと元の鍵を手で回すことは容易です。
実際にモデリングしてみると思ったよりモーターが出っ張ってしまったので図のようにはいかなかったのですが、頑張って小さく収めるという意気込みだけでこの方法を採用することにしました。
ひとまずBlenderでステッピングモーターが中に納まるようなギアを設計してみます。
Blender↓入門書
一通り設計したらとりあえず3Dプリントします。
モーターが狙い通りピッタリとギアの中に収まりました。
3Dプリンターの良いところは、とりあえず設計→出力→実験までが短期間で出来ることです。
動作テスト
多少ガタツキがあるようですが、ガッチリ固定しなくても差し込んでるだけで充分ギアとして機能するようなのでOK!このまま次に進みます。
次回はサムターンをどうやって回すか?です。