イメージ戦略は「消費者に勝手に商品が良いように思わせる戦略」です。
CMにより、我々が勝手に思い込まされて買っているであろう商品をいくつかピックアップしてみます。
このページを見終えた後には少しTVのCMの見方が変わりますよ。
①サイクロン式掃除機
2006年CM ダイソン 吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機
以前、ダイソンの掃除機について書きました。
ダイソン掃除機のCMは「吸引力が変わらない」「他のどの掃除機よりも確実にゴミを吸い取ります」という文句をCM注意入れています。
「吸引力が変わらない」の秘密は上のブログの通りです。
「他のどの掃除機よりも確実に」の根拠となる比較メーカーのデータは公開されていませんし「他のどの<<対象条件>>掃除機」という大事な一文を含んでいないので「嘘」とも言えません。
これらのイメージCMで消費者は「じゃあ吸引力が強いんだ!」と勝手にイメージさせられています。
②サプリメントのCM
サプリメントはイメージ戦略のとても強い商品です。
「医薬品」ではなくあくまで栄養補助「食品」として売らなければいけませんのであの手この手用いられています。多くは「体験談」として場合によってはタレントを起用して「あくまで個人的な意見ですよ」というのが上等手段です。
その他にも以下のような手法があります。
例1)ブルーベリーアイ
【わかさ生活】ブルブルくん&アイアイちゃんのブルーベリーアイCM全集【全22種】
こちら、ブルーベリーのキャラクターが可愛いCMです。
さてこのCMの中でブルーベリーの効能は出て来るでしょうか?
答えは「いいえ」です。「うそ?」と思うかもしれませんが、もしCMに体験談ではなく効能が出て来ていたらそれは薬事法違反です。
目の大きなブルーベリーのキャラクターによって目力を強調したものですが、CMの中では一言も「目に良い」とか「目が良くなる」とは言っていません。薬事法に引っかかるので言ってはイケナイのです。
サプリの中のアントシアニンの含有量は出て来ますがそれだけです。アントシアニンは目の細胞の中でも「明暗」に反応するロドプシンという物質に関わるものですから夜目が効きやすくなるのは確かですが、だからといって決して日常で見るための目が良くなるということはありません。
我々が常識的に知っている目が良くなる=ブルーベリーというイメージを巧みに使ったCMです。
例2)グルコサミン
世田谷自然食品『グルコサミン+コンドロイチン』 CM 【舞の海】 2013/03
「舞の海さんもぐるぐる体操」
はい、体操しているだけです。
これも「グルコサミン=膝に良い」という消費者の勝手なイメージを利用しただけのCMです。
グルコサミンは膝の軟骨を形成する元となる物質だけど体内ではブドウ糖から合成されるものですので、経口摂取すると一旦ブドウ糖まで分解され再び軟骨合成されないと使えないのです。実際どの程度膝の軟骨になるかと問われると答えられる人は居ないでしょう。「世田谷生まれの・・・」グルコサミンがどこで生まれようが関係無いです。
③低反発寝具
これも一時期流行りましたね。
不思議な低反発素材を使ったもので、なんとあのNASAが開発した素材です!
「NASAが開発した」と聞くと消費者は「なんかすごそう!効果がありそう!」という勝手なイメージを抱きますよね。
低反発素材はNASAが宇宙飛行士を宇宙船の衝撃から守るために開発した素材であって寝具用ではありません。
④栄養ドリンク
よく考えてみてください。この1000mgって多いですか?少ないですか?
タウリンは人体で合成され、体重60Kgの人の場合約60g体内に存在するとされています。
1000mgって、単位を変えれば1gです。
「タウリン1g配合」と書かれていたら凄そうに聞こえませんよね?これは凄そうに聞こえる数字のマジックです。
CMは嘘?
ここまでご覧になられた方は
「CMで嘘なんか出したらアウトなんじゃないの?」
という疑問が出て来ると思います。
極端に言えば「イメージです」や「個人の感想です」という一文をどこかに入れれば良いことになっています。
コーヒーに入れるフレッシュもCMでは木工ボンドが使われていましたし、ホイップリクームはシェービングジェル、グラスに食器用洗剤を入れてビールの泡立ちを良く見せる。パンケーキには防水スプレーでシロップが染み込まないようにする。
「フードコーディネーター」によるこういった手法はありとあらゆるCMに取り入れられています。
ですので、結論として「CMに嘘はあたりまえ」と覚えておきましょう。