猫用スマートトイレの「トレッタ」をご存知でしょうか?
猫がトイレで用を足すごとに、
・体重・尿量・トイレ回数・トイレ滞在時間
などがスマホで簡単に記録でき、猫ちゃんの健康管理に大いに役立つという商品です。
猫は腎臓の病気を患うことが多いのでトイレの管理ができるとそれだけ病気に早く気付けるというわけですね。
そして、このトレッタのすごいのが特許の「猫専用顔認証システム!!!」これにより他頭飼いの場合でも各猫ごとの記録ができちゃう!というのです。す・すごい!
カメラなしの純粋にトイレの重さだけ量るCatlog Boardというものもあるんですね。
ただ、トレッタは1台毎に、CatlogBoardは1匹ごとに月額費用が発生する。。。「自作なら月額0円だし、自作しちゃおう!」というのが今回の工作の浅はかな動機です。
もし今後作ってみようかなという方の参考になれば幸いです。
我が家は猫は1頭だけなので顔認証システムは必要なく、体重や尿量の管理をするトイレ型体重計を作る。というのが第一目標です。
※トレッタやCatlog Boardなどは体重や尿量や健康状態などをアプリで一元管理できて体重や尿量の増減によって注意事項や獣医師からのアドバイスが表示されたりと、誰にでも見やすく丁寧な作りになっていますので、今回作ろうとしている素人作品とは全然違うものですよー。ということは先にお伝えしておきます。
という前置きをし、Amazonで体重計測に使えそうな部品探しと情報収集をしました。
重量のセンサーには「ひずみゲージ」と呼ばれるセンサーを金属ブロックと一体化させた「ロードセル」というセンサーが一般的に広く使われているそうです。
一般家庭にある体重計ももちろんロードセルが採用されています。
今回は初めて使うこのロードセルセルセンサーの構造と使い方の情報収集をして纏めます。
ロードセルの候補
Amazonで安く手に入るのは、50Kgのロードセルが4個とアンプ(後述)がセットとになったこちら↓
ハーフブリッジ(後述)というロードセルが各ブロックに搭載されていて、このブロックは1つ、2つ、4つを組み合わせて使えるようになっています。
ロードセルは元来割と高いものらしく、1つ500円以上もザラ。体重計をわざわざ分解して部品取りをしたほうが安いという時代もあったようです。
秋月ではこのセル4つセットだけで2000円弱するので本当に破格ですね。
1つ50Kgの耐荷重なので4つ使うと200Kgまで計量することができます。
しかし、これはトイレ含めて10kg未満の今回の用途にはオーバースペックのように見えます。ブロックが硬すぎて歪みにくいと求めたい精度が出ないんじゃないかな?と感じます。
50Kgもいらんし、、と他を探してもあまりしっくりくるものが無いんですよね。。。
こちら5Kgのハーフブリッジロードセルが4個セットになったものもあります。
合計20Kgだと今回の用途には良さそうです。しかし先程のものを見てしまった後だとちょっと割高に感じるのと、アンプが付属していないので別途購入する必要があります。悩みどころです。
こちらは1Kgのフルブリッジ(後述)のロードセルが4個とアンプも4個セットになったお買い得な商品↓
合計で4Kgまで計量することができます。
トイレ+猫となると明らかに強度不足・・・
1つで10Kg対応の商品ならあるんだけどトイレのサイズを一点で支えるとか絶対に素人工作では無理なので4隅にセンサーは置きたいんですよね。
なかなか悩ましい選択肢です。
ロードセル自体は金属板にひずみゲージを取り付けた単純なものなので、一見自作も可能に見えます。
ひずみゲージ単品も入手可能です。
しかし、ひずみゲージの取り付け方や製作工程などを調べるとそれぞれの形状に理由があったり、ひずみゲージを取り付けるのに推奨される接着剤があったりと、正確な重量を計るロードセル自体を素人が自作するのはなかなか難儀なように見えます。
対象物が「乗った」「降りた」程度の検知であれば自作でも可能だと思うのですが、ロードセルの研究から始める気もしませんし、体重管理が目的となると既製品に頼るのが無難です。
アンプについて
最近の電子工作ではロードセルのセンサー値の演算機として「HX711」というA/D変換器をセットとして使うようで、アンプと呼ばれているそうです。
こちらのブログはこのアンプの登場以前のことを知る方が書かれたもので、計量するならHX711がいかに便利で使わない手がないICだということが書かれています。
ノイズに関するることや信号線の扱い、ブロックの歪み方や注意点など細かく書かれているので、ロードセルセンサーを使うなら一読する価値ありのブログです。
ロードセルのハーフブリッジとフルブリッジの違いについて
商品紹介でハーフブリッジとフルブリッジのロードセルを紹介していました。これはブロックに設置されているひずみゲージの数と、そこから出ている線の違いです。
フルブリッジ↓
ひずみゲージ(抵抗体)が4つ採用されいるロードセルを使う上で基本的な回路です。抵抗体それぞれから線が出ています。
赤に+、黒にーを接続し、緑と灰色の抵抗値の差を読み取ることで変化値を算出します。
この回路はホイートストンブリッジと呼ばれる回路で、繊細な抵抗の変化を精度よく読み取れる回路だそうです。
<詳細はWikipedia参照>
ひずみゲージを2つだけ搭載したものがハーフブリッジ↓
よくある抵抗分圧の回路ですね。
これを2つ繋げばフルブリッジとなりますね。
そして先述のアンプへ入力することで抵抗値変化をより解りやすく大きく捉えられるようになります。
ハーフブリッジのロードセルを1つ、2つ、4つでそれぞれ繋ぐ場合の回路がこちらに掲載されています。
50kg Load Cells with HX711 and Arduino. 4x, 2x, 1x Diagrams. - Circuit Journal
ハーフブリッジ4つでフルブリッジ??
参考先で繋ぎ方はわかるものの、4つの場合は「これでフルブリッジ??なんで??」と思いますよね。
ハーフブリッジを2つで抵抗体4つのフルブリッジになることは理解に容易いと思いますが、抵抗体8つですよ?不思議だと思いませんか?
何なら「フルブリッジのロードセルも配線の仕方ではハーフブリッジとして使えるんじゃないの?」とも思いますよね?
配線がややこしいので一見複雑に見えますが、文字通りこの入り組んだ配線を紐解くと理解しやすいと思いますので少し説明します。
ハーフブリッジの場合、要するに内部は単なる抵抗2つの分圧回路です。
この抵抗から出ている3本の線を各々の抵抗へ接続してフルブリッジ回路を形成するのですが、このままでは解りにくいので、
この配線を一度立体的に図示してみます。
だんだん見えてきましたでしょうか?
展開すると、なんと抵抗体2つ直列のフルブリッジが完成するってワケなんですね。
このように4つのロードセルを結合することで1つのホイートストンブリッジ回路が形成され、正確な抵抗値が算出できるというわけです。
なので、元々フルブリッジのロードセル4つを1つ線を無視して同じように配線したとしても余計な抵抗が内部に形成されているので正確な抵抗値が算出されるようにはなりません。残念!
もし、フルブリッジを4つ配置したい場合はロードセルを単純に並列に繋ぐようです。
<参考>
並列に繋いだものを表すとこうなります。
ロードセルを並列に繋ぐということは、抵抗の並列接続ですので消費電力が数倍増えることになるのでアンプが消費電力に対応しているかの確認をする必要があります。
また、それぞれにアンプを設けてマイコンで計算させるという方法もあります。
こちらのブログでは4つのフルブリッジロードセルをクロック線を同一にして利用するという方法が掲載されています。
作成例
ハーフブリッジのロードセンサーを実際に使った方の参考になるブログ紹介です。
そして今回、僕が作ろうとしているものを実際に作られている方々のブログも発見!!
結構いらっしゃることに驚きです。
これらのブログを拝見させていただきますと、50Kgのロードセル4つでも割と正確に重量検出ができていそうです。
ということで、ものは試しにこちらを購入してみました↓
ロードセル8個、アンプ2個、リボンケーブルまでおまけに入って1000円以下の大変お買い得な商品です。
これなら仮に失敗しても「あちゃー」で済みますしね(笑
※実際に届いたものがこちら↓
もしこれで精度が悪すぎたら5Kg×4個のロードセルを単体購入することにします。
ロードセルを利用して猫の排泄時の挙動から糞尿の判断や算出をする方法はこちらのブログにきれいに纏められており、参考になります。
大と小との判断をロードセルの値から賄うのはやや面倒そうです。
スマートトイレだけでなく、猫と電子工作の相性は抜群のようで、こんな本まで出ています。(笑
スマートねこじゃらしとか出来たらおもしろそう。
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