光学式3Dプリンターには大きく3つの種類が存在します。
前回はそれぞれの構造についてのお話でした↓
今回はそれぞれのメリット、デメリットについて書いていきます。
SLA式
レーザーの「点」をミラーで走査させて光硬化させていく方法で、レーザー光線の点の軌跡が物体として出来上がっていきます。
精度はレーザーのパワー、レーザーの径、走査の精度によります。
[メリット]
- レーザー照射した部分だけが硬化するので無駄なパワーを必用としない。
- レーザーが走査した点は連続した線になるので細かな物体を出力しても他のディスプレイを利用した物より表面が綺麗になる(ドットが出ない)。
[デメリット]
- 大きな面は「点」を走査させて硬化させる必用がある場合、他の方法に比べると速度が遅くなる傾向にある。
レーザー式の3Dプリンター↓
DLP式
プロジェクターを使った方法で「点」ではなく、「面」で硬化させます。
精度はプロジェクタの解像度、焦点距離に依存します。
[メリット]
- 「面」として硬化させるので広い範囲であればレーザー式のものより早い傾向にある。(物によるので、一丸には言えない。)
- プロジェクタを使用しているので、焦点を絞ることで(小さな範囲が高解像度になるため)かなり精度の高い造形が可能になる。
- 焦点を絞ると紫外線のパワーが集中するので造形が早くなる。(焦点を絞れない機種もある)
[デメリット]
- プロジェクターが高価なので機械本体や修理は高くなる。
プロジェクター式の3Dプリンター↓
LCD式
LCDパネル(液晶ディスプレイ)を用いた方式です。
[メリット]
- 安価で高解像度のLCDパネルを利用することで手軽な価格の機種が多く、高価な部品を使っていないので修理が安く済む。
[デメリット]
- 大きいものでも小さい物でもDLPのように解像度は変えられない。
- 焦点を絞れないので大きいものでも小さいものでも硬化にかかる時間は同じ。
LCD式の3Dプリンター↓
このように、見た目は変わらないけど3つの方式があり、それぞれメリットがありデメリットがあります。
SLA方式はレーザー式で、ドットが目立たず滑らかな造形が可能になります。大きな物を作るならこれが一番綺麗になるでしょう。
DLP式は本気を出せば焦点を絞ってかなり精密な品を作ることが可能なので、小物をつくるなら一番理想形のように思います。
LCD(液晶モニター)製造技術の向上で、2K画質ともなるとよくよくよく見ないと素人目ではドットが解らないレベルです。というか、お手持ちのスマホの解像度とサイズを一度ご確認ください。現行のスマホなら大体2000を越える解像度ではないでしょうか?この解像度で文字にドットが見えるでしょうか?虫眼鏡で見ても見えませんよね?
例として、古いスマホ5.0インチ、1280×720解像度のディスプレイをマクロで撮ったのが↓
拡大するとドットがハッキリ解ります。
現行の5.3インチ、2560×1440解像度のディスプレイをマクロで撮ったものが↓
拡大してもドットは全く見えません。カメラ側のノイズが目立ちます。
要するにこのスマホ並みの精度で出力されるんですからそりゃあもう今のLCD技術ってスゴいんですよ!