FDM方式3Dプリンターは紙用のプリンターとは違い、必ず必要なメンテナンスがあります(将来的に不要なプリンターが登場するかもしれませんが、2017年現時点ではまだ必用なメンテナンスです)。
FDM方式の3Dプリンターの購入を迷われている方はこれらのメンテナンスが自分で出来そうかどうか確認してから購入すると良いでしょう。
項目
1.キャリブレーション
これは、以前このブログでも紹介しました。
ベッドを水平に保つ為に必ず必要な処置です。面倒ですが1出力ごとに調整することが望まれます。(ヒートベッドの過熱冷却だけでも僅かにズレるようです)
手動と自動があり、自動の「オートキャリブレーション」は便利です。
手動キャリブレーションの方法はこちら↓
キャリブレーションが最適でない場合のトラブルは、積層剥がれ、ベッドへの不定着、ノズルとベッドの衝突が挙げられます。
2.ベッド掃除
ベッドへ素材を出力して安定させるためには油分や樹脂のカスをしっかりと取り除いておかなければなりません。
一見汚れて無いように見えても樹脂から出た油分や出力品を取り出す際の指先の汚れ、上から積もったホコリ等で素材が定着しにくくなっている場合があります。
出力前に必ずアルコールでベッドを払拭する癖をつけましょう。
ベッドの汚れに起因するトラブルは、出力品の反り、剥がれが挙げられます。
3.ノズル掃除
3Dプリンターの要とされるノズルですが、直径0.4mmのノズルなら当然0.4mmの穴が開いていないといけません。もしゴミが詰まって0.3mmになっていたら出力品はシロアリに食われたかのようにスカスカの状態になりますし押し出し機に無理な負担がかかります。
針金や針等で定期的にノズルの詰まり解消に勤める必要があります。
↓0.4mmの針金
また、ロードするだけのフィラメント用簡単クリーナーも存在します。
ノズル詰まりの原因は安価フィラメントに含まれる不純物、ノズル温度が最適でない場合、融点の違うフィラメントを併用した場合、フィラメントに付いたホコリ、フィラメントが湿気っている場合などが挙げられます。
ノズル詰まりに起因するトラブルは、出力物がスカスカになる、出力物に焦げが混じる、酷い場合はノズルが完全に詰まって押し出し機に負担がかかり、送り器の摩耗、溶けたフィラメントの逆流、モーターの破損が挙げられます。
4.エクストルーダーの掃除
エクストルーダー(押し出し機)はフィラメントにギアの歯を当て、且つ反対方向からベアリング等で押しつけながら最適な速度でフィラメントを送り出す装置です。
当然送り出しのギア歯が汚れていると送り出しが弱まりますし歯の食い込みが最適でないとフィラメントの送り量が微量ながら変わってしまいます。
(直径1.75mmのフィラメントを送る最適な量が1.0だと仮定して、歯が汚れて食い込まなくなった場合の送り量は1.1とか1.2とか通常より多くなりますし、歯が摩耗してしまった場合は0.9とか0.8とか少なくなります。)
定期的に送り歯に積もったフィラメントカスをブラシで払ったり、摩耗した送り歯は交換する必要があります。(金属粉末の含まれたフィラメントを使用すると摩耗しやすいのかもというブログをどこかで拝見しました。)
エクストルーダーの汚れに起因するトラブルはフィラメント吐出不良です。
5.各軸のグリスアップ
3Dプリンターは物理動作をする機械なので当然回転機構やスライド機構が含まれています。
定期的にオイルやグリスを注してあげると快調に動いてくれます。
僕は24時間程度動作させたら軸にオイル、プーリー軸にシリコンオイルを注しています。
最初知らなくて使い続けていたらキュルキュルという異音がするようになって、オイルを注すと異音解消と同時に造形精度までかなり上がり驚いたものです。
注意点として、グリスアップの際にはベッドへ垂れたり付かないよう、スプレーを用いる前に必ず布や紙でベッドをカバーしておきましょう。でないと造形物までベッドから滑って剥がれてしまします。
グリス切れに起因するトラブルは層の乱れ、異音、脱調が挙げられます。
6.フィラメントの除湿保存
プリンター用フィラメントは湿度に弱いので保管時は除湿しておく必要があります。
いい加減に保存しているとフィラメントが吸湿してしまいノズル詰まりの原因になります。
一度湿気ったフィラメントは高温気流の中に長時間脱水する必用があります。
最初から除湿剤を封入した保管箱や袋を利用して湿気らせないように注意しましょう。
湿気によるトラブルはノズル詰まりです。
その他
ベアリングに異常が出たりネジが弛んだりベルトが弛んだり部品が欠けたり放熱が上手くいかないとか機種依存的なトラブルもあるようですから購入前にレビュなどしっかり確認しておきましょう。
購入時には↓合わせて読んでください。
購入後、自分の3Dプリンターのプリント精度を確認するにはWebで比較出来るような有名なテストデータを出力してみると良いでしょう。
3Dプリンターは稼働中は長時間振動を発生しますから思わぬトラブルに見舞われることがあります。
それもまた楽しいんですけどね。
3Dプリンタの出力品の単価について考察しました↓
以上、参考になれば幸いです。