多段式のサイクロ減速機を試作して何度か実験してみて解ったことがあります。
前回の実験から判明したこと
- 偏心が大きいと歯車同士が衝突してエネルギーロスが大きくなる
- 偏心が小さすぎると歯車が滑ってうまく動力が伝わらない
- 外歯車には回転力が強くかかる
- 回転機構の無い外歯車は摩擦が大きくなるのでサイクロ減速機向きではない
- 高回転&低トルクのモーターで回すには出来るだけ一段目の歯車を軽くする必要がある
- 高回転モーターの場合、振動が致命的なので180度相違の2枚歯車式にしてバランスを取った方が良い
以上のことを踏まえ、再度モデルを作り直しました。
- 偏心を出来るだけ小さくする(3Dプリンターでの実現範囲で)
- 外歯車を回転機構にする
- 内歯車を軽くする
- 1段の2枚歯車式にする
Blenderでモデリング中
緑の縦長の棒が3Dプリンター用フィラメント(直径1.75mm)です。細かーい!
※モデル途中のものであり、作成機はこのモデルではありません。
出力用のピンにもリングを取り付けました。
内歯車が軽くなるように肉抜きをすると、結果的に表面の部品同士の接地面積が減ることになり抵抗が軽減されることになります。
厚さ2mmで肉抜き部分は1mmです。
入力用のコアは2枚の内歯車を180度相違の偏心0.5mmで組み立てるので上下1mmの差のコアが完成します。
2mmずつの合計4mm。
下コアには先にリングを入れておかないと後からは入らないので注意。
外歯車は3Dプリンターのフィラメントをそのまま使い、回転出来る程度に保持するという機構にしました。
8mm50個
最初作ったモデルの穴は小さすぎてフィラメントが全く回りませんでした。
結果として、手で支えていると回るけどフィラメントを入れると無反応になる。
という悲しい結果に・・・↓
作り直したものがコチラ↓
結果、狙い通りフィラメントは回転してうまく動いてくれました。
偏心0.5mm、減速比1/50のサイクロ減速機が3Dプリンターで作れるのか?という実験
動画では最初から綺麗に動いているように見えますが、内歯車はヤスリで削って結構調整しています。
当初2段式をと考えていましたが、外歯車のフィラメント50個カットするのに心が折れかけたので1段のみの実験としました。
出力した部品たち↓
なにが何だかよくわかりませんが、自分用の備忘録としてGoogleドライブに部品データを残しておく事にします。
※面倒くさいのでどこに何の部品を配置するかなどは記しません。誰が使っても良いですが、いい加減な名前もついていますのでその点はご容赦ください。
<Googleドライブ>
CycloGire-3DPrinter-1-50 - Google ドライブ
今回、
実験結果としては大成功!
ですが、実用とするにはまだ課題が残されています。
課題
- 電源投入後すぐ回転することもあれば固まっていることもある
- 逆入力がうまくいかない
- トルクが小さ過ぎる
今回の実験から解ったこと
- 偏心の大きいものは高回転のモーター向きではない
- 最初の入力にはある程度のトルクが必要になる(今回のモーターは小さ過ぎる)
入力用のモーターが非力すぎるのもネックなので変えようかなと思案中です。
今回は以上です。
<次回>
Amazonが「ロボットアームなんて1万円以下であるんだから無駄な実験なんかせずに買っちゃえよ♡」と誘って来る。
あ〜、心が折れそうです。