色々なギア
3Dプリンターでギアを作れるようになると工作の幅と夢が広がります。
いろいろな歯車【平歯車 内歯車 遊星歯車 かさ歯車 ラックギア 変速歯車】models of gears
こういったギアを3Dプリンターで簡単に作るにはこちらのサイト↓
が便利なので僕もこちらをよく利用させていただいております。
ここ最近、ロボットアームの作成に興味が出て来て試作をしているのですが、こういったロボットアームには減速機が必須です。
ギヤードモーターやサーボモーターといった減速機内蔵のモーターもありますが、折角なので(なにがだ?)自分の使いやすい減速機自体を作れるものなら作ってみたいと考えています。
何より「手持ちのモーターで費用をかけずに作りたい!」のです。
前述のサイトでウォームギアというモデルを使うと減速率の高いパワーのある減速機が比較的簡単に作れるのですが、ウォームギアは逆入力(アーム側を動かしてモーターを動かすこと)が出来ません。
そこで、いろいろな減速機を調べているうちに「サイクロ減速機」というものを発見しました。
サイクロ減速機とは
百聞は一見にしかず。
中心の片寄った軸で中のギアを外のギアに押し付けることによって中のギアを回すという仕組み。
しかもこの仕組みだと1枚歯差で高効率な減速が実現出来るそうです。
そして逆入力も可能なのです。
なるほど!そうすると普通のギアでも1枚歯の差で差分だけギアが回るということですから、例えば1/100にしようと思うと「外歯が100、内歯が99のギアを作ってゴリゴリ回せば簡単じゃない!」簡単!簡単!と思うじゃないですか?
実際に70歯程度で1枚歯差で作ってみたギアがコチラ(内歯は厚さ0.5mmの試験出力なので中には入っていません)↓
はい、ギアの形状が他のギアと重なってしまうので回るどころか内歯車が中に入りません。
ギリギリ入る範囲を狙ってみましたが結局遊星歯車のようなちっちゃいギアにしかならず、内歯の先端を切ることで1/10程度に収めることに成功したギアがコチラです↓
これを実際に回してみたのですが・・・
回るには回るのですが、これがとんでもなく煩いのです。
ギアの先端を切っているので噛み合わせも良く無くてたまに滑るし、中心の偏心体が大きくなるので出力用のピン穴のサイズとギア全体のサイズも必然的に大きくなってしまいます。
そして、このような機構を「内接式遊星歯車」と呼ぶようで、サイクロ減速機では無いそうです。
サイクロ減速機とは、「エピトロコイド平行曲線と円弧歯車を採用して、且つ同時噛み合わせを持つ減速機」のことだそうです。
「サイクロ減速機」自体も商品名だとかなんとか・・・
<参考リンク>
住友重機械工業(株)|住友重機械工業(株)|SUMITOMO|デジアナEカタログ|メカトロネット
非工業系の僕には上の用語がサッパリ解りませんが、要するに円弧を描くように内歯車と外歯車が常に接しているような複雑な機構ということ(?)だそうです。
へえ、じゃあ素人工作じゃ無理か・・・
と思っていましたが3Dプリンターで作っている方を発見してしまいました!
意外と素人工作でも出来るのか?
これは是非作らねば!
という変な使命感に燃えて円弧歯車とか何も解らないまま強引に作って実験してみたのがコチラ↓
動きました!
とりあえず動いたことに感動しました。
動画の冒頭で「2段式」としていますが、一般的に工業用途で使われているものは2枚歯式のものが多いようです↓
これは偏心のバランスを取るためのものか、或いはバックラッシュを抑えるためのものと勝手に思っているのですが(実際のところ知りません)、2枚の歯とも同じタイミングで動くのでこれらは1段の2枚歯仕様です。
今回はモデリングをしながら、「あれ?これって簡単な機構で多段式に出来るんじゃないの?」という疑問が湧き、調べましたが多段式に関しては何も解らなかったことから動画のような実験をするという経緯となりました。
効率を良くしようと思うとベアリングを沢山使って滑り運動を転がり運動に変える必要があるそうなのですが、そこまで多くは求めていないため今回は「2段式が出来た」という実験結果だけ記しておくことにします。
Blenderで作る方法
素人が実際に無理矢理作った方法を備忘録として残しておきます。
※エピトロコイド平行曲線などという高等技術は扱っていませんので、厳密にはサイクロ減速機と同じではありません。
Fusion360にはこのような歯車を計算するスクリプトが存在するようなのですが、残念ながらBlenderには無いようです。
公開されているモデルも発見出来ませんでした。
そこで、このような力技な方法で作成しましたという備忘録と作ったstlファイルを残しておきます。
直径6cmの円盤に直径5mmの外ギア用の円柱を配置
外ギアをスピンさせて10こ複製します。
中心を原点に合わせて10カ所綺麗に配置します。
次に内歯ですが、このようにガッツリ丸い刃にしてしまうと偏心が大きくなるので
ある程度の厚さにします。(5mm程度)
今度はスピンで9個ピンを原点に合わせて配置します。
外歯と重なる部分があるので中心をギリギリ重ならない程度に軸を移動させます。
このぐらいギリギリ重ならない程度まで詰めます(Y:-1.38)この数値を覚えておきます。
原点を重心にして外歯を18度
内歯を20度回転させます。
今度は外歯にしっかり重なるように円柱を配置して、
同じようにスピンで9個複製、Y軸を先ほど覚えた数値(-1.38)に合わせます。
これが内歯の削る部分です。
出来たら原点を重心にして全ての全てのオブジェの配置を原点(X:0,Y:0)にします。
原点に円柱を配置して先ほど作った9個の円柱に重なるようにサイズ調整します。
ブーリアン演算で後で作った円柱分を削ります。
ブーリアン演算で先に作った円柱分を一体化します。
これで内歯車は完成です。
出力用ピンの穴サイズは、ピンの直径+偏心の量×2です。
コロコロ転がしてピンを回転させて重ならなければOKです。
ベアリング代わりのリングとか適当に作って完成です。
とりあえず実験用に作ったstlファイルは公開しておきます。
必要な方はご自由にお使いください。
<GoogleDrive>
CycloGireTestParts - Google ドライブ
ネジはM3の3cmのものを使っています。
今回は以上です。
Amazonでもロボットアーム売ってるけど、やっぱり高いよね。
<続>
3段のサイクロ減速機を組み上げました↓