フィラメントをいろいろ検索された方はお気付きでしょうが、3Dプリンターの素材であるPLA樹脂(ポリ乳酸)フィラメントは結構な価格差があります。
PLAの主原料は植物なのでその個体や混ぜ物などでその性質も価格も変わるのでしょう。
同じPLAでもABSより強い素材や金属や樹のような質感のある素材など、いろいろな研究が成されているのでまだまだ「発展途上」といっても過言ではありません。
さて、3Dプリンターで使うPLA素材も3Dプリンター本体と同じで、高いほど綺麗に出来るということもないようなので、僕が今まで実際に使ってみたフィラメントの(具体的な計測数値ではなく)個人的な感想をここにまとめておきます。
※あくまで僕自身が自分の3Dプリンターで出力した結果の感想ですので3Dプリンターとの相性問題は充分にあると思います。
- ①amazonから良く出ている安いフィラメントの代表格
- ②オープンキューブからのSCOOVO用純正フィラメント
- ③直径の公差±0.02mmに抑えるということにとことんこだわったフィラメント
- ④BQ純正フィラメント
- ⑤bqのPLA系フレキシブルフィラメント
- ⑥NOULEIのフィラメント(2020年追加)
- ⑦シルクPLAフィラメント(2020年追加)
- ⑧eSUN PLA+(プラス)フィラメント(2020年追加)
- ⑨SUNLU PLAフィラメント(2020年追加)
- まとめ
①amazonから良く出ている安いフィラメントの代表格
<感想>
2000円以内で1Kgリールなのでお買い得だと感じます。
他のものと比べるとリール外枠の径が小さいので扱いが楽ですが、それが弱点でたまに脱線(特に新しい時に使っている途中でフィラメントがリールから外れてしまう)することがあります。
フィラメントの硬さは硬め。
リールの中心軸が細いので最後の方は結構硬く巻き癖がついていますし、劣化していると伸ばしただけで折れます。
他のものより比較的低い温度で溶けます。高温になると焦げやすいです。
170℃程度で出力できるようで190℃を超えると焦げて詰まりました。
そのような欠点を総合しても安いので練習用のフィラメントとしては最高だと思います。
逆にこれできちんと出力できれば高いフィラメントの扱いは余裕でしょう。
②オープンキューブからのSCOOVO用純正フィラメント
<感想>
伸びがよく、 安定した品質で出力できます。
流石に純正として使われているだけあってノズルが詰まらないよう品質にはこだわりがあるようです。
スプールの穴の径は他のものより大きめです。
フィラメント自体は柔らかめ
190℃ぐらいで安定、最初180℃で安定してると思っていたけど、中盤から押し出し不良になりました。
以下、純正フィラメントの推奨文を引用
純正フィラメントのご使用をお願いする理由
パーソナル3Dプリンタの普及に伴い、最近はインターネット等を通じて様々なメーカーの汎用フィラメントが市販されるようになりました。非常に値段も安く、一見魅力的に感じられる商品が販売される一方で、その中には、十分な品質が保たれていない商品が多数含まれているのが実態です。また、これらのフィラメントの品質の良悪を見た目で判断することは、取扱店の方、すなわち“販売のプロ"であっても容易ではありません。当社においても、純正フィラメントの製造にあたり、複数の海外生産工場を視察いたしましたが、検査を一切行わず出荷をしてしまう工場や防塵対策が不十分な工場などを多数目の当たりにし、愕然とした覚えがあります。また、中には安価なマテリアルを数種混合して製造している、といった話も耳にします。当社では、このようなフィラメントを使用したことによる3Dプリンタ本体の故障を未然に防止するため、SCOOVO純正フィラメントのご使用をお客様にお願いしております。
③直径の公差±0.02mmに抑えるということにとことんこだわったフィラメント
<感想>
他のものより若干高めの温度設定で伸びがよく安定した出力が可能です。
リールの外枠が大きめなので脱線することはありませんでした。
どこのメーカー推奨というものではなく汎用品として供給されているようです。
フィラメントは柔らかめ
200℃で安定して出力出来ています。
価格は一見1,620円?安っ!!ですが、別途送料に要注意です。
こだわりの公差の説明を引用
3Dプリンタ用PLAフィラメントです。
当フィラメントの製造中は直径をレーザーで常に計測しており、直径の公差±0.02mmを超えると製造を中断し、ばらつきの原因を解消してから製造を再開する為、安定した直径のフィラメントをご提供出来ます。
また、ベース素材となるPLA樹脂は米国Nature Works社製(製品番号4032P)を100%使用しており、3Dプリンティングでの安定的な出力を可能にしております。
④BQ純正フィラメント
<感想>
温度低めで安定した出力が得られました。
フィラメントの硬さは感覚的には一番上のamazonのフィラメントに近い硬さですが、amazonのものより安定した出力が出来ました。
180℃で安定、190℃の長時間稼動でノズルの詰まりが発生しました。
スペインBQ製の3Dプリンタ用に作られたフィラメントだそうです。
⑤bqのPLA系フレキシブルフィラメント
<感想>
フレキシブルなものが作れる面白いフィラメントですがうまく出力するのに結構な手間のかかるフィラメントです。
かなり難素材なので過去記事に特別まとめてあります↓
⑥NOULEIのフィラメント(2020年追加)
これまでストックしていた在庫のフィラメントが全部切れたのでamazonにある最近出て来た格安のフィラメントはどうかな?と試しに購入してみたのがこのフィラメントです。
<感想>
これは「すごい!」と驚きました。
フィラメントの伸びがすごく良いです。200℃で安定して出力出来ています。
購入時の価格は1,600円でしたので期待はしていませんでしたが期待以上の梱包の丁寧さと品質でした。
ただ、若干ベッドから剥がれ易い感じがします。
追記:別ページで纏めました↓
⑦シルクPLAフィラメント(2020年追加)
新型コロナウイルスの影響で格安のフィラメントが手に入りにくい中唯一500g1000円程度で売られていた美しい光沢のあるフィラメントです。
<感想>
215℃で綺麗に出力出来ました。
しかし、すこし硬い感じがするので細い部品は折らないように気をつけたほうが良さそうです。ベッドへの定着は良さ過ぎるぐらい良いです。
追記:別ページに光沢等を纏めました↓
⑧eSUN PLA+(プラス)フィラメント(2020年追加)
PLAフィラメントの衝撃に弱い、熱に弱いという改善点を克服したのがPLA+と言われています。
<感想>
215℃で問題無く出力出来ました。
ベッドへの定着もすごく良いです。
PLAの改善点を克服したフィラメントと言われますが、まさしくその通りの性能です。
追記:別ページに普通のPLAとの違いを纏めました↓
⑨SUNLU PLAフィラメント(2020年追加)
低価格フィラメントの中で評価の高いものです。
<感想>
200℃で問題無く出力できました。
他のフィラメントとの違いは表面がザラついているので送り出しのグリップが良さそうです。
スプールの穴が大きいのでスプールホルダーの形状によっては合わないかもしれません。
追記:別ページに纏めました。
まとめ
いかがでしょうか?
フィラメントの違いはリールの直径からフィラメントの品質まで様々ですが、
①の安いフィラメントは比較的低温で溶け焦げやすく、高温だと焦げが発生しやすい性質があるように思います。つまり安定して出力出来る範囲が狭いです。
対して②や③のようにこだわりの明確なフィラメントは範囲が広く、高い温度でも焦げが発生しにくいように感じました。高い温度で安定して出力できるということは高速なプリントでも安定しているということです。
フィラメントは液化してしまわない程度の温度でノズルから一本の安定した太さの線として出力され、且つ下の層としっかり溶着する程度には軟化するのが望ましいのです。
フィラメント自体の品質以外にもリールからフィラメントが脱線しないことも重要事項です。と付け加えておきます。
おまけ
↓PLAで出力したものを簡単に加工する方法があります。
一般用途以外に特殊系フィラメントもこんなに沢山ありますので要チェック!ですよ。
社外フィラメントを使うときに必用になるスプールホルダーの紹介です↓