前回、オゾン発生器を購入してオゾンの発生方法を探ってみました。
オゾンガスの効果などについては過去記事参考↓
<注意>
オゾンガスの発生装置は高電圧で作動します。
自作する場合は必ず自己責任で、感電しないように気を付けましょう。感電は場合によっては命に関わります。
またこのブログは決して装置の自作を推奨するものではございません。
装置の動作中はオゾンガスが発生します。
高濃度のオゾンガスは中毒症状を起こします。
室内で動作させる時には換気に気をつけましょう。
小さなお子様やペットのいる部屋では使わないようにしましょう。
原理
オゾン発生装置は電極をガラスで隔てた「無声放電」という放電方法でオゾンを発生させる原理のものが多いようでしたが、購入した安価なものは特にガラスで電極も隔てられておらず、簡単な「コロナ放電」を用いてオゾンを発生させているということが判明しました。
<市販品のオゾンガス発生装置>
要するにどのような方法でも「大気中で放電させればオゾンは発生する」ということです。
とうことで、家にある廃材で使えそうな物を利用してもっと効率の良いオゾン発生器をDIYすることにしました。
構造
大気中で放電させるためには数千ボルトの高電圧が必要です。
(大雑把に、1000Vで約1mmの放電が起きると言われています)
「コッククロフト・ウォルトン回路」という回路を組むと、交流電源から直流の高電圧を発生させることができます。
<コッククロフト・ウォルトン回路>
この回路では1段ごとに元の交流電源の電圧を2×(段数)倍と段階的に高めることが出来ます。
<1段の回路>
これを繋げることで段々に高電圧を得られるようになります。
しかし、元からある程度電圧の高い交流の電源が無いと非効率なので、入力電源として使い捨てカメラのフラッシュ回路や古い液晶モニターに使われていたインバーター等がよく利用されています。
材料
僕の手元には古いスキャナー(たぶんEPSON)を分解したときに取り出した冷陰極管の回路がありました。
基板には「NEC」という表記があるものの、詳細は不明のものです。
インバーターの入力電圧等も不明でしたが、いろいろ試しましたら古いプリンターから取り出した32V電源を繋いでみた所バッチリ点灯しましたのでこの組み合わせで作ることにしました。
インバーターの出力電圧も不明ですが、コードの耐圧が3kVと書いてあります。
Webでいろいろ調べてみると冷陰極管がだいたいの1kV前後の物が多いようなので、まあ特段変わったものも使われていないだろうと踏んで1kVとして他の部品を選定することにしました(詳しい人が見たら怒られそうなぐらい適当)。
Web上の制作例でコッククロフト・ウォルトン回路でよく用いられているダイオードは耐圧1kVの汎用整流ダイオード「1N4007」ですが、これは
「逆回復時間(電圧が伝わるまでのタイムラグ)が長過ぎて(物によっては数十μ秒のものもあるとか)高周波では速度不足で効率が悪くなる。」
ということが以下のブログで紹介されています。
<参考>
コッククロフトウォルトン回路② : C18AREA 旧技術格納庫
1N4007
■主な仕様
・種類:整流用ダイオード
・回路数:1
・逆電圧:1000V
・平均順電流:1.0A
・ピーク順電流:30A
・順電圧:1.1V
・端子間容量:15pF
・パッケージ:アキシャルリード
上のブログ中ではFR107が紹介されてますが、手に入りにくいということでESJA57-04を使っているようです。(1個100円)
ESJA57-04
■主な仕様
・種類:高圧シリコンダイオード
・回路数:1
・逆電圧:4kV
・平均順電流:5mA
・ピーク順電流:0.5A
・順電圧:15V
・逆回復時間:0.08us
・端子間容量:2pF
・パッケージ:アキシャルリード
4kV耐圧は良さそうですが、1段につき2つ必要なので1つ100円は高すぎます。
他に選択肢が無いかと探してみると、耐圧は低くなりますが1kVの超高速スイッチング用としてUF2010を発見しました。(1個20円)
UF2010
■主な仕様
・種類:超高速スイッチング用
・回路数:1
・逆電圧:1000V
・平均順電流:2.0A
・ピーク順電流:60A
・順電圧:1.7V
・逆回復時間:75ns
・端子間容量:35pF
・パッケージ:DO-15
<秋月の購入サイト↓>
高耐圧高速整流用ダイオード UF2010 1000V2A: 半導体 秋月電子通商-電子部品・ネット通販
逆回復時間が74μ秒ってめちゃ早いってことですが、ちょっと想像できません。
実際冷陰極管で使われている周波数は一般的に数十kHzなので〜、周波数と周期の計算が必要ですが僕はこれが苦手!!
ということで便利なサイトを使います。
<周期計算サイト>
余裕をもって100kHzの時の周期を計算させると周期は10,000n秒ですので、切り替わりのタイミングはその半分の5,000n秒。
つまり、逆回復時間が5,000n秒以内のダイオードであれば充分なので、上のダイオードのスペックはオーバースペックと言えます。
もっと安い物はないか?と調べますと、「PS2010」というものを発見しました。
こちらのダイオードは逆回復時間が500n秒ですが、これで充分使えそうです。
しかも10個で80円、1個8円て、安っ!
ただ、耐圧が1kV。入力電圧の2倍程度が理想なのでこれを二個直列で繋ぐことにします。これなら1段に4つ使っても32円で済みます。
< 秋月電子>
高速整流ダイオード 1000V 2A(10個入): 半導体 秋月電子通商-電子部品・ネット通販
PS2010
■主な仕様
・種類:高速スイッチング用
・回路数:1
・逆電圧:1000V
・平均順電流:2A
・ピーク順電流:70A
・順電圧:1.1V
・逆回復時間:500ns
・端子間容量:35pF
・パッケージ:DO-15
コンデンサはダイオードの端子間容量の35pFより以上のものを選択する必要があるので2kV、1000pFのものを選択しました。
<秋月電子>
中高圧セラミックコンデンサー 1000pF2kV: パーツ一般 秋月電子通商-電子部品・ネット通販
届いたパーツたち
ちょっと発注をミスしてしまってダイオードの数が足りなかったのですが、これらで回路を組んでいきます。
<コロナ対策関連記事>