前回、次亜塩素酸水の中でも類似品に当たる「電解次亜水」は簡単な装置で作れると書いてしまいました。
装置を簡単な図で表すとこう↓です。
「こんなものを数千円出して買えない」そんなことを書いたら、その業界の人から「そんなに簡単だと言うなら実際に作ってみろよ」という声が聞こえて来そうな気がしたので(実際に聞こえたわけではありません)、
「一般的な家庭にある物だけ」を使って、実際に電解次亜水を作ってみることにします。
まずはお約束の注意書きです。
<注意>
装置の動作中は水素と塩素が発生します。
水素は燃焼、爆発します。塩素は中毒症状を起こします。
室内で動作させる時には換気に気をつけましょう。
小さなお子様やペットのいる部屋では使わないようにしましょう。
材料
ペットボトル、ストロー、アルミホイル、シャーペンの芯、鉛筆(シャーペンの芯は折れやすいから)、USB充電器(充電判断機能とか付いていない安いやつ)、USBケーブル、輪ゴム、ガムテープ
以上です。
どれもこれも家庭にありそうでしょ?無くても百均で売られている物ばかりです。
作成
まずはペットボトルキャップに3カ所ほど穴を開けます。
真ん中の2つはストローを通す為の穴、右の1つは発生した水素を逃がすための穴です。
穴に、ストローを2本差し込み、下写真のように下部を切り開いておきます。
USBケーブルの機器への差し込み側の端子を切ります。
ケーブルから、プラス、マイナスの線を取り出します。
だいたい、赤が+極、黒が−極の電源線で、その他の色の線は信号線とシールド線になっていると思われます。また、電源線は他のケーブルより太くなっていることもあります(いろいろなUSBケーブルを分解した経験から)。
どちらが+極か−極かは今回の装置では気にしなくても良いので、とりあえずそれらしきケーブルを2本取り出せればOKです。
取り出したケーブルはストローの切り開いた口から見えるぐらい1本ずつ分けます。
(それ以上の長さに分けると、後で電源を変えたい時には便利ですが見た目がややこしくなります。)
この2本のストローの開いた面が互いに外を向くように輪ゴムで縛っておきます。
開いたストローが+極と−極を分けるためのセパレーターとして機能します。
絶対に2つの炭素棒同士を引っ付けてはいけません!
食塩水を電気分解するためには、金属ではなく炭素棒が必要なので身近にある黒鉛を炭素棒として使うことにしました。
鉛筆の芯です。当初シャー芯を使おうと思っていたのですが折れやすいので鉛筆に変更しました。
このように、鉛筆をカッターで縦に四方から切り込みを入れると、
芯が取り出せます。
周りにボンドなど不純物もありますが、今回はあまり気にしないでおきます(笑)。
取り出した鉛筆の芯をアルミホイルで巻きます。
ストローにギリギリ治まる程度に巻いて、剥いた電源線の上からストローの中に押し込みます。
このとき、電源線とアルミホイルが開いたストローの横から見えないように注意します。
図示するとこうなります。
(炭素棒の長さが充分であればもっと奥でも良いです。というか奥の方が良いです。)
電源線とストローを折り返し、出来るだけ空気が入らないようにガムテープで一本ずつ止めます。
なぜ、空気が入らないようにするかというと下図のとおり、
ストロー内部に空気層を確保することによって溶液による金属の腐食を減らすことが出来るからです。
(注意)装置の動作中に溶液がアルミや導線などの金属に触れると溶液中に溶け出すと予期せぬ有害物質を生み出します。
装置の動作中にもし溶液の色が変わったら金属が溶け出している状態です。
多少の空気の漏れは発生した気体でも補われますが、塩素は金属を腐食させるガスですので出来るだけ密封しましょう。
以上で完成です。あとはペットボトルに装置ごとキャップするだけです。
簡単でしょ?
単純に「水槽に電極をセットする。」という方法でも良かったのですが、このように電極を纏めておくとペットボトルが保管容器としてそのまま使えますし、他のペットボトルでも簡単に使えるということを考え、このような型の装置にしました。
動作確認
水と食塩塩を入れてよく溶かして装置を繋ぎます。
今回の実験では500mlで約3g程度の塩を溶かしました(目分量)。
USB充電器に繋いでしばらくすると水素が発生するのが見えて来ます。
よく泡が出ている方がマイナス極側です。
反対側のプラス極側は塩素が発生しています。
USB充電器の5Vで分解している様子です。
<水素の発生>
<塩素の発生>
ジワジワとしか反応しませんが、一応塩素は発生しているようです。
蓋を取って臭いを嗅ぐとほんわり塩素臭がします。
あれ?こんなに反応の薄いものだったっけ?塩が少ないのかな?
ということで、実際の機器に使われている塩分濃度を調べてみました。
時間と塩分濃度
色々なメーカーの出している機器の塩分濃度がかなり差があります。
2000mlで30g
低濃度5min 中濃度15min 高濃度30min
と、時間で濃度を変更するタイプのもの。
5Vの電源
300ml 低濃度7.5g 中濃度15g 高濃度22.5g
時間8min
と、塩分濃度によって次亜塩素酸濃度を変更するもの。
USB式
300ml 低濃度10g 中濃度15g 高濃度22.5g
8min
先のものより低濃度の塩の量が多いタイプのもの。
バッテリー式
80ml 1g
3min
小容量タイプのもの。
調べてみると500mlで3gはめちゃめちゃ少なかったようです。
500mlだと10g以上は必要そうですね。
まあ今回は実験なので、塩分濃度はそのままで、電圧をUSBの5Vから手元にあった9Vのアダプターへ変更してみました。
<水素の発生>
<塩素の発生>
当たり前ですが先のものより随分と反応が良くなりました。
横から見ると水素の細かい気泡が凄い!
いろいろと濃度や時間を試す必要がありそうですが塩素は発生していてきちんと次亜水にはなっているようです。
理論的には解っているものの、実際に塩水を電気分解したあと塩素臭を嗅ぐと「塩素が生成されてるー!」と感動しますね。
ということで、装置の自作は家庭にあるもので充分に可能なのです。
課題
今回、鉛筆の黒鉛を利用したせいか剥がれ落ちた不純物が底に貯まりました。
鉛筆の芯は黒鉛の他に粘土も混じっていますから仕方ないですね。
フィルターで濾せば問題ありませんが、もっと純度の高い炭素棒を用いる方が良いと思われます。
実は、純度の高い炭素棒も家庭にあるあるものを分解すると手に入ります。(まだナイショ)
↓一番上のもの。
この炭素棒を使って今度は「百均で買えるものを利用した(←適切な電源すら百均には無かったので無理だった・・・)+極と−極を分けた2槽式の次亜塩素酸水生成装置の作成」を作ってご紹介したいと思います。
ですが、現在ペットボトルが不足していて作成出来ません。あまりペットボトル飲料を買わない私PONですが、現在考案している装置はペットボトルが最低4本は必要です。
このご時世ですので他人様の捨てたペットボトルは怖いし、家族のだれかがペットボトルを消費するのを気を長くして待つことにします。
ペットボトルの準備ができるまでしばしお待ちを。
「電解装置」というものも売られているんですけどね。やはり値段が・・・
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また、装置自体は出来たとしてもきちんと使用するには有効な次亜塩素酸濃度を測定して電圧と時間と食塩濃度を探る必要がありそうです。
測定装置は高価だしどうしたものか?と検索したらAmazonにはその用途にピッタリな測定用紙が格安でありましたので早速注文しました。
なんとph測定用紙まで付いています。
これで精度の高い次亜塩素酸水生成装置が出来る。・・・・はず
できました!↓
<その他、コロナ対策関連 参考>