以前の記事で、安い次亜塩素酸水生成装置では「次亜塩素酸ナトリウム水が出来る」ということを書いていました↓
そんな装置なら素人でも簡単に作る事が出来ますよ。
ということで実戦してみたのがコチラの記事↓
そして、このような簡単な装置から出来るものは「次亜塩素酸水」とは呼べず、類似品の「次亜塩素酸ナトリウム水溶液(電解次亜水)」というものになってしまう。ということを書いていました。
「次亜塩素酸ナトリウム水溶液」を空中に散布すると、程度によりますがコロナによる肺炎ではなく、次亜塩素酸ナトリウムによる肺炎を引き起こすことがありますので要注意です。
<参考記事>
空間除菌目的なら(濃度によりますが)オゾンガスの方がまだ安全です。
今回はそのような類似品ではなく、本物の「次亜塩素酸水(微酸性次亜塩素酸水)」と名乗れるものをペットボトルを使って作ることにひとまず成功しましたので取り急ぎ掲載させていただきます。
大まかな概要を短い動画に纏めてみましたのでご覧ください↓
ホンモノの次亜塩素酸水(微酸性次亜塩素酸水)の生成装置を作ってみた
構造
本物の次亜塩素酸水を作ろうとすると、「陽イオン交換膜」と呼ばれる特殊なフィルターが必要になります。
いわゆる高価な装置で用いられている方法です。
この装置は交換膜で陽極と陰極を分けることにより、各極の溶液を選択的に取り出せます。
ところがこの陽イオン交換膜というものは非常に入手し辛いものです。(入手しても騒動が終った後の使い道が無い)
そこで、思いついたのが「チューブ」を使う。
という、とっても単純な方法です。
要するに、陽極側と陰極側を電気分解が終っても継続して分けておければ良いのですから、チューブで分けて、反応後の溶液が混ざらないように止水できれば良いのです。
<構想>
- 電極として炭素棒
- 発生した水素と塩素を抜くためのチュープ
- イオンを交換するため、電極近位の溶液と遠位の溶液を交換するためのチューブ
を設置します。
この状態で電気分解し、イオン交換しているチューブを塞ぐと電気が途絶えるので反応が止まり、そのまま陽極側、陰極側を分けることが出来るんじゃないか?という考えです。
では、実際に実験装置を作ってみます。
装置の作成
炭素棒の確保
純度の高い炭素棒を入手するには、マンガン電池を分解するのが簡単です。
<注意>アルカリ電池ではなく、マンガン電池です。
分解時には電池内部の成分が皮膚や目に不着しないように手袋やグラスの着用など最新の注意が必要です。
電池の分解は推奨するものではありません。完全な自己責任です。
中身を取り出すと電極に使われている炭素棒が取り出せます。
陽極用、陰極用で2本必要です。
炭素棒に電気を流す為のクリップも作ります。
クリップを伸ばして、
色鉛筆などに巻いて、
半田付けすれば電線から電極に電気を流すことが可能になります。
ペットボトルの加工
キャップに炭素棒とチューブが3本通る穴を空けます。
チューブは水槽のエアポンプに使うシリコンチューブ、
僕はチューブよりコシの強い3Dプリンター用に買っていた対薬品性に優れているテフロンチューブが手元にあったのでそれを使いました。
穴に炭素棒とチューブを設置して、ボンドで固定します。
図にするとこうです。
チューブは、炭素棒付近に開口するもの、炭素棒遠位に開口するもの、上の空気層に開口するものの3種類用意しています。
これを2本作れば装置は完成です。
ペットボトル本体に加工していないのでそのまま保存容器として使えるのがポイントです。
チューブは2つのペットボトルを繋ぐよう図のように接続します。
土台は、ペットボトルの頭を切ってテープで固定。
チューブと電線を取り出せるだけの穴を開けておきます。
<完成写真>
電源
電源はUSBの5Vでは全然足りなかったので32Vの電源を使いました。
これは、テフロンチューブを利用したことが原因の1つだと思われます。
テフロンチューブの内径が2mmしか無いため、ここに通る塩水を通してのみしかイオンが通らないため電導率が悪過ぎるのです。
シリコンチューブをそのまま使った方が遥かに電導率は良さそうです。
クリップ
チューブを挟んでおくためのクリップを用意します。
このようにチューブを折り曲げてクリップで止めることで止水します。
実験
まずはお約束の注意書きです。
<注意>
装置の動作中は水素と塩素が発生します。
水素は燃焼、爆発します。塩素は中毒症状を起こします。
室内で動作させる時には換気に気をつけましょう。
小さなお子様やペットのいる部屋では使わないようにしましょう。
塩水を入れたペットボトルを設置します。
(約500ml×2本に塩20g程度溶かしました)
設置する際には空気抜きチューブの先を止めておきます。
※紫斜線が止めておくチューブ
反対に向けて空気抜きを開放します。
何度かペットボトルを押して完全に2つを繋ぐチューブ内に塩水が満たされるようにします。
この状態で電気を通すと陽イオン、陰イオンがそれぞれのタンクに偏ります。
陽極付近には陰イオン、陰極付近には陽イオンが寄ります。
その状態のまま、反応が悪いので3時間待ちました。
反応を止めるときは、溶液を繋いでいるチューブ2本を止めます。
反応が止まれば空気抜きも止めます。
そのまま裏返し、溶液を繋いでいるチュープを開放します。
装置を取り外せば完成です。
テスト
次亜塩素酸水を作っても、それが有効塩素濃度に達しているかの実験をする必要があります。
次亜塩素酸の有効塩素濃度測定用紙というものがありますのでそれを利用します。
水道水でテストしてみると、
phは中性、塩素濃度の反応はありません。
キッチンハイターに付けたところ、
強アルカリ性を示しますが、原液のままでは有効塩素濃度としては反応しない様子?漂白されたから?(液の周囲は強力に反応しています)です。
今回作った溶液をテストしてみました。
左が陽極側、phは約6で酸性です。
右が陰極側、phは約9でアルカリ性です。
有効塩素濃度です。
右上の神が今回テストした用紙。
解りにくいですが約10PPMです。
酸性を示し、有効塩素濃度10PPMを示していますので、問題無く「次亜塩素酸水」と呼べるものが作成できています。
今回の装置は効率が悪いので改良の余地が充分にありますが、
「チューブを用いて陽極、陰極を分ける」
という方法は、僕が調べた限りでは見つける事ができませんでしたので、電気分解の実験として良い実例になったのではないかと思います。
こちらからは以上です。
追記:動画へ質問をいただきましたので回答させていただきました。
<コロナ対策関連記事>